HOME > 疾患情報 > 保存期腎不全患者の治療 > CKD診療 | ここが変わったCKD診療~CKD診療ガイド改訂のポイント~診断編

印刷する

ここが変わったCKD診療 ~ CKD診療ガイド改訂のポイント~診断編

はじめに

「CKD診療ガイド2012」では、腎機能の評価法、CKDの重症度分類、尿蛋白評価、降圧薬選択、高カリウム(K)血症・代謝性アシドーシス管理などについて、より実臨床に即した改訂がなされた。今回の講演では改訂のポイントを紹介したい。

腎機能の評価法

2009年度版では、腎機能について血清クレアチニンを用いた計算式により推算GFR(eGFR)で評価してきたが、改訂版では、従来の血清クレアチニンを用いた推算式(eGFRcreat)による評価に加え、るい痩や下肢切断などにより筋肉量が極端に少ない人においては、血清シスタチンCを用いた推算式(eGFRcys)を用いた評価の方が適切であることが追記された。

CKDの重症度分類

2009年度版では、eGFRを指標として、eGFRが低下するほどに重症と評価していたが、改訂版では原因(Cause:C)、腎機能(GFR:G)、蛋白尿(アルブミン尿:A)によるCGA分類で評価するとされた(表1)1)。今後、CKDの重症度分類は、例えば「糖尿病G3aA2」のように表記する。

また、CKDの重症度分類は、総死亡、末期腎不全、心血管疾患(cardiovascular disease;CVD)死亡のリスクを色分けして表示しており、緑を基準として、黄色、オレンジ、赤の順に重症度が上昇するほどリスクが上昇することも表している。

尿蛋白は、糖尿病患者は尿中アルブミンの測定が保険で認められているため、尿蛋白定量となる他疾患と分けて記載されている。尿蛋白は尿蛋白/クレアチニン比で0.15g/gCrからが異常となる。

また、GFR区分は、2009年度版ではGFR30~59mL/分/1.73m2をステージ3と評価していたが、改訂版ではGFR45mL/分/1.73m2を境にCVDリスクが異なることがわかり2)、「G3a」と「G3b」に分けられた。

重症度分類が変更された背景には、世界各国のコホート研究による100万人近くのデータ解析がある3)。その解析により、腎機能はGFR60mL/ 分/1.73m2未満で死亡あるいはCVD死亡のリスクとなり、そのリスクはGFRが低下するほど上昇すること、また蛋白尿はCVD死亡の独立したリスクであり、蛋白尿の増加に従ってリスクが高くなることが示された。腎臓病が腎不全だけでなく死亡の強いリスク因子であり、腎機能と蛋白尿を別々に評価してそれぞれを危険因子と認識する必要があることも明らかになり、今回の改訂に反映された。また、同じ腎機能の状態でもCVDリスクは、腎炎患者を1とすると高血圧患者で約3倍、糖尿病患者では約6倍と異なる4)ことから、原疾患を考慮した分類となっている。

表1 CKDの重症度分類

蛋白尿の評価法

表2 尿所見の評価法

改訂版では、尿試験紙法は目安として行い、「蛋白1+」以上は尿異常として蛋白定量を実施し、尿蛋白/クレアチニン比0.15g/gCr以上を陽性とすることが記載された(表2)1)。 尿蛋白は「正常:0.15g/gCr未満」「軽度:0.15 ~ 0.49g/gCr」「高度:0.50g/gCr以上」とし、基本的に「高度」で腎臓専門医へ紹介としている(表2)。尿蛋白が0.15 ~ 0.49g/gCrの場合、尿試験紙法での目安は「(-)~(2+)」と幅が広いため、尿試験紙法だけで判断することは避けるべきである。