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2014年診療報酬改定から読み解く、今後の透析施設経営について

武藤先生

武藤 正樹先生 国際医療福祉大学大学院教授(医療経営管理分野責任者)

略歴:  
1974年 新潟大学医学部卒業。
1978年 新潟大学大学院医科研究科修了、医学博士。
1988年 厚生省関東信越地方医務局指導課長。
1990年 国立療養所村松病院副院長。
1994年 国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。
1995年 国立長野病院副院長。
2006年 国際医療福祉大学三田病院副院長、国際医療福祉総合研究所長。
2009年より現職。

所属学会:
日本医療マネジメント学会副理事長、日本ジェネリック医薬品学会代表理事、日本外科会会員、医療計画見直し等検討会座長(厚生労働省)等。

診療報酬改定は、経済情勢や医療技術の進歩などのほか、新しい政策の実現のために行われる側面もあります。2012年2月に政府が取りまとめた「社会保障・税一体改革大綱」では、社会のさらなる高齢化に対応するために医療サービス提供体制の制度改革や地域包括ケアシステムの構築を図ることとされ、それを推進するための一つの柱として診療報酬改定が位置づけられています。

そこで今回、2014年の診療報酬改定の振り返りから、今後の医療施設経営、特に透析関連施設経営の方向性について、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」で分科会長を務める武藤正樹先生にお話をうかがいました。

2014年診療報酬改定は2025年に向けた医療制度改革の第2弾

――2014年の診療報酬改定は、医療制度改革の中で、どのように位置づけられますか。

団塊世代の約800万人が75歳以上となる2025年に向けて、まず2012年8月に社会保障・税一体改革関連法が可決・成立しました。この法律は、消費税率を引き上げ、その財源を社会保障制度を通して国民に還元する事を目的としています。医療・介護分野では、医療制度サービスの機能強化を図るとともに、医療制度サービスの重点化・効率化の取り組みとして、早期の社会復帰を可能にする「医療提供体制」と、退院した後、どこにいても適切な医療・介護サービスを受けられる「地域包括ケアシステム」註1の構築を図ることが打ち出され、「施設から地域へ」、「医療から介護へ」という方向性が示されました。

また、2013年8月にまとめられた社会保障制度改革国民会議の最終報告書では、医療提供体制の見直しとして、(1)病床機能情報報告制度の早期導入、(2)病床の分化と連携の推進、(3)在宅医療の推進、(4)地域包括ケアシステムの推進、などが掲げられています。

この報告書も踏まえて、2014年診療報酬改定は、2012年診療報酬改定に続く、2025年へ向けた医療制度改革の第2弾と位置づけられます。その内容は、患者負担にも留意しつつ、医療機関の機能分化・強化と連携を進め、病床の役割を明確化したうえで機能に応じた充実を図るとともに、急性期を脱した患者の受け皿となる病床、主治医機能、在宅医療の充実等に取り組む必要があるとの考えに基づいて実施されました(図1)。

図1
「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方」(概要)

出典:厚生労働省保険局医療課 平成26年度診療報酬改定の概要
(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)

註1 地域包括ケアシステム:
厚生労働省では、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。
地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。

――2014年の診療報酬改定では、どのような点が重点課題となったのでしょうか。

2014年の診療報酬改定は、「医療機関の機能分化・強化と連携」、「在宅医療の充実」等を重点課題として実施されました。

このうち、医療機関の機能分化・強化と連携に関しては、まず、病床の機能分化の促進を目指して7対1入院基本料病床の要件を厳格化し、高度急性期病床のふるい分けを推進していました。同時に、7対1入院基本料病床数削減の受け皿として地域包括ケア病棟および有床診療所に対する評価などが行われ(図2)、地域包括ケア病棟入院料の新設などが盛り込まれました。また、在宅医療の充実に関しては、在宅復帰を促すために地域包括ケア病床や回復期病床等に対して在宅復帰率が導入されました(図3)。

図2
1.入院医療について<病床の機能分化>

出典:厚生労働省保険局医療課 平成26年度診療報酬改定の概要
(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)

図3
1.入院医療について<在宅復帰の促進>

出典:厚生労働省保険局医療課 平成26年度診療報酬改定の概要
(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)